ミャンマーについて

ミャンマーでの会社経営

ミャンマーで2013年5月に立ち上げ、現在に渡るまで運営して参りました。その経験から、ミャンマー会社経営のTIPSをお届けします。

仕事への定着は、通勤時間が大きなファクター

ヤンゴンのダウンタウンにオフィスを構える企業は多いですが、ヤンゴンのダウンタウンでは深刻な交通渋滞が発生しています。そのため、毎日片道30分~1時間バスに乗車している従業員も多いです。

弊社は、Botahtaung Townshipにオフィスを構えていました。ストリート番号で言うと52nd〜53rd Streetあたりになります。Hledanから通勤1時間で通勤できればラッキーですが、雨期は大雨で冠水し、湿度100%のサウナのようなバスに2時間乗ることもあります。Kyauktanから通う社員は「どうして1日4時間バスに乗らなくてはならいのだ。私は座れるから勉強できるけど。」とぼやいています。

同じ給料なら通勤時間の短い方が良いでしょう。両親の引越で片道30分が1時間半になったら、職を変えることを真剣に考えます。

私どもも、MICTパークにオフィス移転し、ヤンゴン東側から通勤している従業員は全員退職しました。毎日渋滞のダウン端を通過しなければならず、通勤時間が延びるためです。前述のKyauktanの社員は往復5時間半かかるそうです。逆に、ヤンゴン西側住民は渋滞と無縁になり、「快適になった」「自分の時間を持てるようになった」と言っています。

進出するにあたっては、オフィスの場所と従業員の通勤のしやすさを熟考する必要があります。これは、飲食店や小売店で言う「商圏設計」に近いものがあります。

新品がいい

日本は経済が鈍化し「失われた20年」とも「30年」とも呼ばれています。そのため、オフィス家具やPCなども中古品を購入してコストセーブしている企業も多く、そのような「賢く倹約」はとても良いイメージがあります。

しかしながら、ミャンマーは「アジア最後のフロンティア」と呼ばれるように、ここ数年で経済が急成長し、右肩上がりが続いている国です。そんな環境にいる人は中古品を購入するメリットはあるのでしょうか。日本もバブルの頃は中古品などではなく、良いもの、新しいものを求めて、どんどん消費していったはずです。

もちろん経営の観点から、無駄は押さえる必要はあります。しかし、右肩上がりの国と、右肩下がりの国は、同じ理屈は通りません。そういう国だと認め、日本のやり方を押しつけないようにしましょう。

ビジネス英語力を期待してはいけない

ミャンマーはイギリス統治の時代があった影響で、英語を話せる人が多いのは事実です。日本人もそういうイメージで捉えていると思います。

ただ、話せるというのは、道案内やレストラン・タクシーでの「旅行で現地人とふれあった思い出レベル」であって、ビジネスとして指示したり、状況を説明できるような英語力を持っている人は少ないです。新卒の学生などでは、そもそもビジネス経験が皆無でビジネス単語を知りませんから、全く通じないと思って間違いはありません。

富裕層や軍幹部の出身であれば、留学経験や英語でのビジネス経験があります。しかし、従業員を公募した場合などでは、そのような人材に出会うチャンスは少ないのが現状です。

日本語の習得は早いといわれるけど、普通

ミャンマー人は日本語の習得は早いと言われます。弊社の実績では、全く日本語を知らない状態で、3ヶ月間、半日の日本語語学プログラムに週5回通わせた場合、ローマ字での日常会話ができるようになりました。

主語・目的語・述語という語順が似ていることもありますが、ミャンマー人の勤勉さが習得スピードを上げていると思われます。

実際、日系企業のオフィスなどでは日本語堪能なスタッフを見かけます。ミャンマーの日系企業で8年近くシステム開発に携わっている企業を訪問したとき、ミャンマー人従業員とぶつかるということがありました。そのときその従業員は「スミマセン」と即答しました。ハッとした瞬間に母国語以外が出るなんて、相当な達者だと思います。

ただ、たとえば日本人も1年海外留学をすれば、普通にビジネス会話ができるようになりますし、ディベートも可能です。そう考えると、ミャンマー人の日本語習得は早いかと言われるとクエスチョンマークがつきます。そういった語学センスの高い人材が多いことは確かだと思います。